反抗期と思春期、真っ只中の次男との思い出

我が家はスキーをします。
特に、次男は家族の中で一番行きたいと思っているかもしれません。
これまでに次男とは、僕と2人で年に何度も行っています。

今年、中学3年生だった次男は、受験生でした。
この一年、学校見学へ行ったり、説明会に参加したり、しばらく続いた受験勉強(ユーチューブばっかしてだけど)、そして、面接練習も頑張りました。

高校受験では、本人なりに納得できたようで、一安心。
受験が終わって、一息ついたのか、次男の方から「スキーに行きたい」と話をしてきました。
ユーチューブばかりしているように見えても受験が終わるまで本人なりに遊ぶことを我慢してたんですね。
「そうだね、受験も頑張ったし、合格発表前に行こう」
そういって、僕と2人で行く事になりましたが、自分から行くといったのに、なぜか態度が悪い。

そう、今の次男は反抗期真っ盛りなのです。
今回は思春期であり、反抗期の次男との出来事を記事にしてみました。

【不愛想な態度はなぜ?】

2人でスキーに行くときは途中で車中泊をするので、前日の夜から出発します。
次男が小学生のころ、「車中泊をしてみたい」という話から、ずっと続いている方法です。

スキー板を積んで、ウェアを入れて、寝床を作って、準備を進めます。
「夜の9時には出るよ」
そう伝えても、なんだか反応が淡白です。
うん・・・
うん・・・
と、真顔で答えるだけです。

9時になって、「行くよー」っていっても、なんだかムスッとしてます。

愛知から長野へ、車で走っていきますが、その間、スキーの話をするわけでもなく、受験のことを話すわけでもなく。
次男はどこかムスッとしたままで、楽しいのかつまらないのか、良くわからないままにスキー場へ着きました。

翌朝、7時ころに起きて8時からオープンするスキー場に合わせて準備をします。
外は雪が降っていて、シンシンとした雰囲気の中で準備。
「今日は寒いね」
「うん」
「準備できた?」
「うん」
「そろそろ行こうか」
「うん」

スキー場で、リフトに乗って
「今日は木も樹氷がきれいだね」
「どうする?まずはあっちの好きなコースを滑ろうか」
なんて話を振っても相変わらず無表情。
なんだか、以前にスキーにきたような浮足立つような嬉しさとか、自然とこぼれる笑みがありません。
いやいや連れてこられたような感じです。

【成長期と反抗期】

「こっち見ないでほしい」
ある日、私たちに次男が言った言葉です。

なんてことない日常の中で、うっすらと笑みを浮かべている姿。
なんか機嫌が良さそうだなと次男のことをみていたら、そう言われたことがあります。
親としては、子供の表情は気になるものですよね、
その時々・・・一瞬一瞬かわる表情から、子供の様子を伺うものです。
でも、その様子をみられるのが恥ずかしいと思うようになっているようなのですね。

思春期の頃、心身共に大きく成長する子供には2つの大きな変化が訪れると言います。

一つ目が第二次性徴です。
この頃、生殖機能が発達し、心身共に大人へと成長していきます。
男の子であれば身長が大きく伸び、体毛が濃くなったり、精通が始まったりします。
女の子であれば、乳房が大きくなってきて、生理が始まるころでしょうか。
どちらも性的な興味が増して、異性に関心が出てくる頃でもあるでしょう。

二つ目に、反抗期が始まります。
発達心理学では青年期の初期に差し掛かるころで、自我が発達して自分と他人(親も含め)は、違うのだと自覚し始め、独立を求めるようになります。
その結果、親からの干渉を嫌がり、反抗することがあります。

この頃の子供たちは、自分の心身の変化に大きく戸惑います。

異性に興味が出てきた自分のことが「自分は変態なのではないか」と感じたり、自分自身が汚く感じたりすることもあるかもしれません。
また、大きく変わっていく身体の変化を、隠したいとも思うでしょう。
自分が思う以上に苛立ちが抑えられない状態になったりして、物凄く反抗して親を責めたりする半面、心の奥では罪悪感を感じて、素直になれない自分を責めてしまうこともあります。

このような自分を隠したい、と感じることもあるかもしれません。

これまで一緒にお風呂に入っていた子が急にコソコソしだしたり、家族の前でこの変化について話したり、成長過程にある子供の身体の変化を茶化したりしてしまうこともあります。

反抗期の子供たちのきつい態度に親が戸惑い、良くないことと感じて、きつく当たり返したり、抑圧させようとしてしまうこともあるかもしれません。

私たち親は、このような子供たちの態度を見ていると、寂しさを感じたり、焦りや心配を感じたりすることもありますが、かえって子供の感情を抑圧させてしまう事にもなりかねないようです。

大切なことは、手出し口出ししたい気持ちを、最小限にとどめて、見守ることだと言われています。
とはいえ、全く手放しでよいわけではなく、非行に走ったり、困っているのに助けてと言えなくなっている様子だったり、必要な時に、いつでも助ける手は準備しておく必要がありますが。

次男の話に戻ります。
思春期真っ只中の次男にとっては様々な身体の変化に戸惑い、自分の事を何か言われたりすると必要以上に苛立ちを感じ、感情の起伏の変化の大きさにも戸惑い、そんな自分を隠していたいのだろうなと思う反面、隠しきれていないこともよくあります。

近頃は、そのような自分に戸惑いも感じているようです。
自分自身も抑えることが難しい感情の浮き沈み、顔の表情やしぐさなど、それらを無理に隠そうとしていることも見て取れます。
いま、我が家で心掛けていることは、むやみに干渉しないこと、でも、常に気にかけてあげる事(一人ぼっちにはさせない)、また、困ったときは、どんなことでもいいから隠さずにちゃんと私たちに相談する事、と教えています。

話を、スキーに戻します。
ムスッとした態度は、感情を隠しきったつもりの結果かもしれません。
その態度は決して良い態度と見て取れないものですので、いい気分はしないものですが、感情を悟られまいと無愛想にふるまう姿を見ていると、なんだか、「喜んだら負け」みたいにもみえてきて、微笑ましいというか、とりあえず触れずにいることとしました。

スキーを何本か滑ったあと、次第に気持ちも緩んできたのか、笑みと言葉が出るようになりました。
次第に好きな飛行機の話などもでてきて、いつもの次男らしい姿に。

2人で滑るとペースも上がります、
お昼を過ぎる頃には疲れてきて、そろそろ上がろうか、と帰ってきました。
帰りは行きのような、なにかムスッとした雰囲気は感じませんでした。
とはいえ、男同士です。
そんなにペラペラ話をするわけでもないのですが。
そんな空気の中、ふと次男が不安そうに訪ねます。

「受験、大丈夫かな」

おそらく、高校受験以降、ずっと受験結果が漠然と不安だったのでしょう。
だから余計に、ムスッとした態度になっていたのかもしれません。
「きっと大丈夫、明日にはわかるよ」
そう言って家に帰りました。

翌日の合格発表。
受験した高等学校へ向かいました。
合格者の発表は、10時から。
次男の受験番号は34番です。
10時になって、貼り出された合格者の番号の中に、

「34」

無事合格することができました。
よく頑張ったね、と声を掛けると同時に、親も深く旨を撫で下ろしたのでした。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

自身の生きることの辛さ、日常の悩みを乗り越えてきた経験から、心の束縛感や生き苦しさ、恋愛、夫婦関係の問題解決を得意とする。 ご相談内容を心理分析しながらお客様と共に考えていくことで、気付けなかった本当の気持ちを洗い出し、アンバランスになった心の整理整頓を行う。