クレーマーの心理についてリクエストを頂きました。
私たちはクレームを受けると怖くなり、オドオドしてしまったり、不快感からクレーマーと同じように怒りで応戦してしまうことも多いようです。増してや理不尽なクレームであればある程、そのように反応してしまっても仕方がないことだと思います。
でも、クレーマーの本当の心理は決してあなたを攻撃したい訳ではないのです。あなたやあなたの属している組織へ大きな期待を寄せていたり、伝えたいことがあるのです。そこには「私のことをもっと大切にしてほしい」というメッセージも込められているようです。
本来はお願いの際は穏やかな口調で頼めば頼まれた側も受けやすいのですが、そうなれない理由が何かあるんですよね。今回の心理学講座ではそのように怒鳴り、相手をコントロールしようとするクレーマーの心理について説明させて頂きます。
◎リクエストを頂きました◎
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私は仕事で一般のお客様を相手にしていますが時々いる激しいクレーマーについて、その心理が知りたいです。色々なタイプがいますが、感情をむき出しにして延々怒鳴ったり、自分の思い通りにするために尋問を繰り返したり…
私としては、初対面やよく知らない人に感情をむき出しにするのはいくら嫌なことがあったとしても抵抗がありますし、恥ずかしいという気持ちになります。それに、相手もひとりの人間だという態度でいれば、気持ちよく対応してもらえると思うのです。
また、クレーマーへ苦手意識があるので、その対応方法もご伝授いただけると幸いです。
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クレーマーの心理
本来、どのような人にも、「いつも優しくありたい」という思いが存在しているようです。でも、そうでない人もいますよね。感情を剥き出しにし、怒鳴りつけ、相手を自分の意のままにコントロールしようと考えている人もたくさんいます。
では、クレーマーとはどのような心理状態なのでしょう?
・期待やこだわりがつよい
人それぞれ、多かれ少なかれ、こだわりや考えをもっていると思います。
○○であらねばならない
○○で当然
例えば、飲食店であれば、料理が旨く接客態度も良いというのが理想でしょう。
でも、あなたが訪れた超有名な高級店が料理がイマイチでサービスも悪かったとしたら、どんな気持ちになりますか?
がっかりするでしょうし、こんな筈はないと思うのではないでしょうか。
クレーマーになる要因のひとつとして、この「期待」が大きく影響を及ぼしているようです。
「どうして、美味しい料理を提供してくれないんだ」「もっと良いサービスで振る舞ってくれないんだ」「こんな筈はない」
そんな気持ちが働くのも当然ですよね。
それだけ、その店に思い入れがあり、料理や接客に対して期待をしていたのに、期待していた物が手に入らなかった。そのとき、心の整理ができなくなり、取り乱してしまうのでしょう。
ただ、そう考えるとクレーマーというのは受ける側からすると、少し厄介で大変な存在にも感じますが、本来は大切なもの(良いサービスや品物等)に気付かせてくれる貴重で尊い存在なのかもしれません。
・自分は何もできないという怒り
もしも、あなたが自分は何もできない、自分の力では何も変えることができないと感じていたとしたら、このような気持ちになりませんか?
私には価値がない、自分は役に立たない人間だ...と
クレーマーの多くはそのような気持ちを抱えていることが多い様です。以前は何かを変えようとチャレンジしていたのでしょう。でも、上手くいかず、失敗を繰り返し挫折した。すると、どうせ、自分なんかが何かをしても無理という思いがつよくなっていき、その苦しい状況が続くと耐え切れなくなります。
すると状況が好転しないのは周りのせいで私のせいではないと思うようになっていき、次第に自分が苦しいのはあなた達のせいなのだから、あなた達が私の思うとおりに動きなさいとコントロールするようになっていくでしょう。
そのように心の中は怒り・復讐のエネルギーで充満しているため、周りは怖いと感じますが、当の本人は無価値感でいっぱいという状況なのです。
・繋がりを感じたい
「誰も私のことを分かってくれない」と感じているとき、人との繋がりを感じられない分、相手との距離を遠くに感じてしまうものです。人との距離を遠くに感じているから、誰かに何かを伝えようとすると、つい、強い口調になってしまうんですよね。
相手との距離を近くに感じていれば「○○してください」と穏やかに伝えればいいのですが、人との距離を感じている分、強い口調で言わないと相手に思いが届かないと感じてしまい、怒鳴るのです。
その背景には、過去に分かってほしいのに分かってもらえなかったという経験を何度も繰り返してきたのかもしれません。そのときの怒りが、ふとした拍子に湧き上がってきてカーッとなり、自分でも抑えきれず、相手を怒鳴り散らしてしまうのかもしれません。
いくつか挙げましたが、クレーマーの言動には共通して「もっと私を大切にしてほしい」とメッセージが込められているようです。
彼らは怒っているようで、本当はSOSを発しているのです。「助けて」が言えたら、どんなにラクになるでしょうに...
もしかしたら、助けてと言えない彼ら自身に怒っているのかもしれませんね。
クレーマーへの対応
では、クレーマーにはどのように接したらよいのでしょう?
それは「分かりますよ、その怒っている気持ち」という共感、寄り添う気持ちをお持ちになることだと思います。
相手は怒っているから、怖いですよね。でも、怒っている人は孤独なんです。ひとりぼっちですごく怯えているのです。
その気持ちを分かってほしくて、分かってほしいあなたに訴えているのです。
そう考えると少し切なくなりませんか。
以前、こんなことがありました。通勤途中、私の近くにいた方が気分が悪かったのか、吐いてしまったのです。そして、あろうことか汚物が強面の怖そうなお兄さんにかかってしまったのです(><)
当然、その人は怒り狂い、車内で「どうしてくれるんだ」とわめき散らしました。あまりにもすごい迫力だったのでつい、私も次の駅で降りようかな(笑)とも思いましたが、そのときにこう思ったのです。
「この人、今、孤独だろうな」って。
そして、「汚物をかけられて恥ずかしいのだろうな。どうしようもないと思っているのかな」...と。
だから、勇気を出して、その男性に「これ、使って下さい」とティッシュを渡したのです。
すると、その人が穏やかな口調で「悪いな」と言い、静かになったのです。
多分、その男性はわめきながらも、誰かに分かってほしいとSOSを発していたのだと思います。
その気持ちを誰かひとりでもいいので分かってもらえたとき、ホッとして穏やかになれるんですよね。
クレーマーに対して不快感や怖さも湧いてくると思いますが、怒りではなく優しさで返すことができたなら、あなたがあなた自身を誇りに思えるでしょう。
すると、不思議とクレームが怖くなくなっていくんですよね。
あなたの勇気と優しさでクレーマーを包んであげてくださいね。
(完)