「恐れ」というのはとても強い感覚です。
それはうねりのように胸の中で渦巻いて、不安や怒りなどネガティブな感情を引き起こします。
リクエスト特集今回のテーマは「心を学ぶことで恐れは克服できるのか?」。私たちを脅かす恐れとの付き合い方について考えてみたいと思います。
◎リクエストを頂きました◎
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初めまして。最近こちらのサイトを拝見させていただいております20代会社員です。
「心理学を知れば自分を脅かす心理を克服することはできるのでしょうか?」
というテーマをリクエストさせていただきたいと思います。
カウンセラーの先生方も自分の心理状態は理解できるけれども、どうすることも出来ない状況というのはあるのでしょうか?
非常に気になるところなので、よろしくお願いいたします。
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恐れとは何か
「恐れ」というのはセンサーのような感覚です。危険や不安を察知すると作動して、私たちを傷つけるものから遠ざけます。
「恐れ」があるからは私たちは、リスクから適度な距離を保つことが出来るし、危険なことには関わらないでいられるわけです。
いっぽう「恐れ」は私たちから平常心を奪い、時に冷静な判断を妨げることもあります。
「恐れ」というのは私たちにとって、欠くことのできない大切な感覚ですが、過ぎた「恐れ」は多くの問題を引き起こします。
克服するより、慣れる
弱い自分に打ち勝って、怖さに負けない自分になる。「恐れを克服する」というと、こんなイメージを持つ方が多いのではないでしょうか?
私も以前は、苦手なことこそ積極的に向き合って、弱い自分をやっつけなければならない、とそんな風に思っていました。
けれど、実のところ「恐れを克服する」ということは弱い自分や怖がっている自分を打ち負かすということではありません。
むしろ、頑張り過ぎは精神的な負担が大きく、余計に不安が強化されるということもあります。
先に触れたように「恐れ」を感じることで私たちは、危険を遠ざけ傷つくことから逃れることができます。
大切なのは脅威を感じた時にでも、必要以上に恐れないでいられること。
実のところ恐れを克服する、というのはどちらかと言えば、「怖い」という感覚に慣れていくというのが近いように思います。
その為にはまず、無理のないところから少しづつ慣らしていくことです。どんな時に不安や恐れを感じるのかを分析し、心の準備をする。
あらかじめ予測をしておくことで、極端に不安定になることは避けられるものです。
心理学で恐れは克服できるのか?
「同じ痛みを二度と味あわないように」恐れは私たちの心を護る無意識の防衛システムのようなものです。
心を学ぶということは、この心理システム知るということです。
何を恐れているのか?
その背景に何があるのか?
それは今もあなたを脅かす存在か?
もし今あなたに何か脅威を感じているものがあるならば、それが現在進行系のものか?
あるいは過去、あなたを脅かしていたものなのか?をよく吟味してみます。
そしてそれが、すでに完了しているものならば、「もう大丈夫」と心の中で呟いてみます。
多くの場合私たちは、過去の痛みを今に投影し、未来に不安を映し出しています。
もしあながたが、今起こっている出来事にだけフォーカスできたなら、不安や恐れは随分と軽くなるはず。
そうやって恐れを克服することで、踏み出せなかった一歩を歩み出すことができるようになります。
「恐れ」が担う防衛システムを役割を解けるのは、他の誰でもないあなただけなのですから。
(完)