セックスレスには原因があります。それは夫婦がある時期に「すれ違い」を起こしたことの積み重ね。その中でも代表的なものが「出産・育児」の時の「すれ違い」です。
子どもを産めない男性は、頭ではわかっているつもりでも、子育てに余裕がない妻の態度を受け入れられずに、妻から「拒絶された」と傷ついているケースが多いようです。どちらが悪いわけではないのに起こってしまう「すれ違い」。その男性心理に迫る連載の第一回です。
カウンセリングの中で「夫婦のセックスレス」は大きなテーマのひとつ。
その中でも、「夫が求めてくれない」という女性からのご相談を多く伺います。
そこで、今回の心理学講座では、「夫婦のセックスレス」について、そこにある「セックスを求めることができない男性側の心理」という視点で書かせていただきたいと思います。
「セックスレス」には「きっかけ」があります。
「きっかけ」として多いのが「出産・育児」。
この時期に「夫がセックスを妻に求めることを諦めてしまう」ことが、その後の「セックスレス」につながっている場合が多いのですね。
そもそも、この時期というのは、女性の側が「セックス」に意識を向けにくくなります。
「出産・育児」の時期は、「妻が母になる時」。
母になると、身体も心も「母モード」になります。
赤ちゃんを育てることに、身体も心も集中しざるを得ません。
そうなると、夫のことを「異性」として認識することは難しい。
つまり「恋愛」「セックス」という気分になれないのです。
これは、女性にとっては「自然なこと」「当たり前のこと」なんですね。
ところが、男性はどうでしょう。
男性は子どもを産むことができません。
当たり前ですよね。
でも、「当たり前」だからこそ「子どもを産むことで起こる身体や心の変化」を、感覚的に感じることはできません。
つまり「子どもを産んだ女性の心と身体の感覚を男性は理解できない」ということなんです。
この「当たり前の話」について、私たちは学んできていません。
だから、やむ得ないところもあるのですが、この「意識の違い」をお互いがうまく扱えないと、その後の「セックスレス」の原因になることが多いのです。
逆に言えば、こうした「男女の意識の違い」や「その時の状況下でお互いがどんな気持ちだったのか」について学ぶことで、セックスレスの原因となった「元になっている気持ち」を知ることができ、それを和らげていくアプローチによって、セックスレスを解消する可能性を見つけることができる、といえます。
「妻にセックスを求められなくなってしまう男心」は、以下の3つのケースが考えられます。
(1)育児中に放ったらかしにされたと「拗ねる」ケース
(2)母になった妻を「女性」と見られなくなるケース
(3)セックスを妻から拒絶された痛みから「拗ねる」ケース
どのケースも、自覚している場合もありますが、妻からすると自覚がない場合が多い。
けれど、振り返ってみれば、「自分は夫のことを放っておいたのかもしれない」あるいは「あの時、ひどいことをしてしまったのかもしれない」と思い当たることがでてきます。
そうすると、妻としては「強く自分を責める」ことになってしまいます。
「私のせいで、夫婦の溝ができてしまったんだ」と。
しかしながら、ここで大切なことは「子育て中の女性には余裕は全くない」ということ。
たとえ、夫のことを放置してしまったとしても、冷たい態度を取ってしまったとしても、それはやむ得ない状況だったのです。
このことを理解して、「自分を責めなくていい」という視点を持つことが大切なのですね。
その上で、「あの時の夫の気持ち」や「男性特有の心理」について知っていくことで、夫に対して、これからどう接していけばいいのか、がわかってきます。
今回の連載では、3つのケースに分けて、「妻にセックスを求めなくなってしまう男性心理」についてお話しするとともに、「セックスレス解消のためのアプローチ」さらには「男女それぞれの生まれてきた命の守り方」について、書かせていただきたいと思います。