年をとることについて、心理学してみようという試みのラストは、
セックスレスにつながる、自己嫌悪ついて考えてみたいと思います。
セックスが無い、ということは、ある意味、夫婦の間に大きな川が
流れてしまって、近づけなくなるということです。
年をとって、セックスが少なった、あるいは完全に無くなった、と
いう場合、よく、
「パートナーを、異性として見れなくなった。」
ということを理由として聞かせていただきます。
大変な大恋愛をしてご結婚なさったご夫婦でも、こういったことは
起こるようです。
なぜ、こうなってしまうのでしょう?
あんなに素敵だっただんな様が、あるいは、奥さんが、異性として
見れない。
これは、そう、考えるだけでも、さびしく、切ないことだと感じま
す。
しかし、本当に、パートナーは魅力を失ってしまったのでしょうか?
本当に、昔と違い、輝きの無い人になってしまったのでしょうか?
あなたのパートナーは、あなたを映し出す鏡ともなります。
もし、あなたが、あなたのパートナーを、異性として見れないとし
たら、あなた自身が、女性として、あるいは男性として、自信を失
っているかもしれません。
「最近しわが増えたわ」
「おなかもたるんできた」
「ずいぶん、はげたなぁ。。。」
「昔ほど、体力も無くなったなぁ。。。」
「胸もたれてきてしまったわ。」
等など。
なんとなく、若くなくなってきた自分にため息をついてしまったこ
とはありませんか?
これら、肉体的な衰えや変化、体力の減退は、現実的な老化だけで
なく、僕たちの心に、新たな自己嫌悪を作り出します。
それは、思春期の男の子や女の子が、子供から大人へ変化する自分
の体を、気持ち悪く感じたり、嫌悪感を持ったりする心境に似てい
ます。
こういった自己嫌悪は、パートナーに対しては特に強く出てくるも
のです。
ましてや、十数年、数十年単位で夫婦をやっているわけですから、
自分の全てを知っていても不思議は無いわけです。
だから、余計に、しわが増えた、おなかがたるんだ、体力が無くな
った、そういった自分に対する嫌悪は、そのままパートナーへ投影
してしまいます。
「うちのダンナはもう、私を女として見てないわ」
「おれの嫁さんは、おれを弱い男だと思っているに違いない」
こういった自己攻撃は、最終的には他者への攻撃になります。
「女としてみてくれないなら、もう、男として見てやらない!」
「男として見ないのなら、女として見てやらない!」
となってしまうわけです。
体の変化に対する自己嫌悪が、最終的にはパートナーの魅力を感じ
させないようにしてしまうわけですね。
では、ここで、40代の心理学らしく、40代以降の自己嫌悪を手
放していく、いくつかのエクササイズを紹介します。
①パートナーの魅力をもう一度見てあげる。
パートナーに魅力を感じようとする行為そのものが、あなたの中
の価値をもう一度、自分のものとする行為でもあります。
すべては投影なのですから、逆に、パートナーに魅力を感じない
と感じていることは、自分に魅力を感じていないマインドの現れ
でもあるのです。
②自分の体をほめてあげる。
今日まで、自分とともに人生を歩んできてくれている、自分の体
をほめてあげます。
数十年間、あなたの思うとおりに、動いてきてくれました。
あなたのために、がんばってきた肉体に、感謝をしてあげてくだ
さい。
「いつも有難う。これからも宜しく。」
と、あなたの体を慈しみながら、声を掛けてあげてください。
これは、朝、起きたときに、最低でも1ヶ月は続けてあげると効
果的です。
③自分が、パートナーとともに在ることを知る。
あなたがもし、パートナーとただ、なんとなく生活していたり、
生きているような状態だとしたら、それは、あなたに与えられて
いるパートナーシップの恩恵を受け取っていないと言えます。
そんなときは、この問いかけを自分にしてみてください。
・私は、この人とどんな人生を歩みたかったんだろう?
・私は、この人に、どんな顔を見せたかったんだろう?
・私は、この人にとって、どんな私でありたかったんだろう?
・私は、この人の、何を愛していたんだろう?
解らないと感じてしまう時は、わかるまで、何度もこの問いかけ
を続けることが、このエクササイズのこつです。
答えが出てくるまで続けてみてください。
その答えが、あなたが、あなたのパートナーを選び続けてきた理
由です。
出てきた答えを大切にしてあげようと思ってみてください。
そして、その答えを持つあなたが、どれだけパートナーを愛して
きたかということに、誇りを持ってあげてください。
これらのエクササイズは、同時にやると、効果は倍増です。
ひとつだけではなく、ぜひ、3つすべてをお試しください。
自己嫌悪とは、嫌悪している自分を「自分」の全てと思い込む、間
違った考えです。
でも、この小さな間違った考えが、夫婦の間に大きな川を作り出し
てしまうのです。
しかし、こういった自己嫌悪を癒してくれる最大の方法が、セック
スでもあります。
お互いの体を愛し合うセックスは、体について持ってしまった自己
嫌悪をきれいに癒してくれます。
年を取り、セックスが無い、ということは、実は、自己嫌悪した自
分にこだわり、愛を受け取らないようにしてしまう行為なのかも知
れませんね。
そんな、こだわりが溶けていきますように。
明日のあなたが幸せでありますように。
僕がいつも、思うことです。
田村厚志のプロフィールへ>>>