キアゲハの脱皮〜自然が教えてくれること〜

最近、ウォーキングをしています。
朝、ちょっとだけ早起きをして、お気に入りのコースを歩いていると、気持ちが
リフレッシュして、とっても気持ちがいいんです。
それだけではなく、季節の移り変わりや、その日の天気などを肌で感じること
ができて、新しい発見も多くあります。
先日、友人と一緒に緑地公園までハイキングよろしく遠出をしたときのことで
す。
キアゲハチョウが脱皮したてのところを発見しました。
脱皮したてで、羽がまだ折りたたまれているように、しわくちゃの状態です。


こんな脱皮したばかりの蝶が、大きく羽を広げてゆき、ひらひらと飛んでいく
さまをこの目で見ることができたら、どんなに素敵でしょうか。
ということで、友人と一緒に蝶を見守ることにしました。
少しずつ、羽が広がっていきます。
でも、まだ、羽は小さくて、頼りなげです。
どんどん、羽が乾いて、鱗粉がはっきりと浮き立ってきました。
「そろそろ飛ぶんじゃない?」
私たちは、わくわく。
ところが、思いも寄らぬ出来事が。
風が吹き始めると、風の抵抗を受けたその羽が、重荷になってしまうの
です……。
しっかり足を踏ん張らないと、飛ばされてしまいそう。
ついに、風の抵抗に耐えられず、蝶は地面に。
まだまだ、飛べる状態ではない様子です。
ちょっとがっかりしつつも、見守り続けます。
どんどん羽は大きく、そしてしっかりと芯ができつつありますが、やはり風が
吹くと、負けてしまいそうです。
芯ができたと思っても、羽はまだまだ柔らかく、風にぺらぺらとめくれるように
なびいてしまうのです。
それでも、だんだん、体も乾いてきて、体毛がふわふわと見え出しました。
そして、突然、体をきゅっ、とそらせたのでした。
その神秘に、いちいち感嘆のため息です。
いよいよ、成虫したキアゲハのスタイルと近づきました。
きっと、飛ぶんだ。
期待が高まります。
そこに二羽のキアゲハがはらはら、と飛んできました。
ふわふわと舞うオトナを見て、羽の大きさといい、すっかり乾いた軽やかさとい
い、比較すると、まだまだ違う感じです。
羽で体を支えるほどになってないのです。
この子はまだ飛ばないんだ、と分かりました。
ここまでの間、1時間はゆうに経っていました。
時間を見て、そろそろ行かねばという結論に達し、私たちは蝶を後にしたので
した。
でも、きっと飛ぶことができる。
当たり前、ですよね。
私の心の中には、その蝶が軽やかに舞うさまは、容易に想像できるのです。
だからこそ、そろそろ時間だね、と気持ちは惜しむのですが、簡単に蝶から離
れることができたのでした。
人の成長も、こんな感じなのでしょうか。
脱皮が終わったから、もうすぐ、美しく羽ばたいていくのね。
早く飛んで〜。
キアゲハに何度願ったことでしょうか。
そうは思っても、羽を広げ、体を乾かし、姿勢を正し、……ひとつひとつの
プロセスはやはり必要で、省くことはできないのです。
それでも、私たちは、必ず、飛び立つことができることを知っています。
時間がかかるのは、不器用なのではなく、ひとつひとつのなすべきプロセスが
なされているから……そんな風に考えてもいいのかもしれません。
すべて、森羅万象の摂理なのだと。
分かっていても、時間がない、と先急いでしまう私たちへ。
自然は教えてくれたのかもしれません。
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