現在、いろんな流派(?)の心理学があります。
どの心理学でも共通して唱えるのは、両親の影響を子供は非常に大き
く受けて育つ、ということです。
私自身、カウンセラーになる前、そんな内容の本を何冊も読んで、
自分の心理分析をしたりもしました。
ところが、どの心理学も、人間の心理についての分析はあるものの、
それではどうしたらいいのか、というと、全くといっていいほど出口
がないような感じでした。
分析だけで終わってしまうと、見方によっては、被害者的な、他人依
存的なまま宙ぶらりんになってしまい、問題の解決にはつながらない
感じがしたのでした。
多くの人は、その解決法を望んでいるのではないでしょうか。
そんなときに、私は現在の心理学に出会いました。
この心理学が教えてくれたことで、一発で私の目からうろこが落ちた
ことがあります。
それは、
「自分が両親からもらえなかったもの。それは、あなたが両親に与え
るためにもって生まれたギフトです」
というものです。
両親というものは、自分が持っているものは全て子供に与えたいもの。
だから、与えないものは、両親ですら、持っていないものである、と。
両親も、そのまた両親からもらえなかったものであるのだと……。
そのとき、溜飲が下がるような思いでした。
そうか……。
自分が与えるなんていう発想すらありませんでした。
そして、自分自身がギフトである、という発想も、そのころの自分に
はありませんでした。
そのあと、与えることの難しさを知りました。
自分がもらえなかったものを与えるのは、本当に難しいのです。
やってあげたという恩着せがましい気持ちがでてきてしまったり、
なんで自分が、という気持ちになったり……。
そして、できない自分を責めてしまったり。
両親も、こんな気持ちだったのか、と思いました。
プロセスでいうところの、「許し」というのはこんな感じになります。
こんな気持ちの中でも、やってくれたんだ、だから、
「もう、いいわ」
と、こだわらないこと。
そんなふうに、両親に対する「許し」ができたとき、私は、
「私は両親を許したんじゃない、自分自身を許したんだ」
そんな風に思ったのでした。
「許し」というのは、最も難しい心理学のプロセスであるといわれて
います。
なかなか、それができずに苦しむこともあるかと思います。
けれども、できない、という苦しさもまた、プロセスなんですね。
どうしたらいいのか分からない。
自信がない。
それでも、できることをしていく。
全部全部、出し切ってしまって、もう、これ以上は……、と思った最
後の瞬間にあなたが与えられるもの、それこそがあなたの与えにきた
一番のギフトなんです。
そのギフトを分かち合えたとき、あなたにもそのギフトが手に入りま
す。
そして、それこそが、あなたがずっと欲しいと願っていたものであっ
たりします。
あなたがずっと欲しいと願っていたものは、意外なところから、手に
入ってしまうのかもしれませんね。
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