神戸メンタルサービスの平です。
私の友だちに「気の強い女性が好き」という男がおります。
彼の場合、おかあさんも気の強い方なので、どうしてもそのタイプの女性が好きになるようなのです。
しかしながら、気の強い女性にはケンカ早いところもあるようで、いつも大ゲンカをして、そして、ひどい目に遭い、理不尽なことを言われたりなんかしては、「どう思う、平?」という相談をよくよこします。
友だちなのでカウンセリング料をもらうわけにもいかず、「おまえのこの関係、いつかブログにでも書くからな」と言っていて、そして、きょう、いよいよ書くこととなったわけです。
客観的な意見として、「なんでいつも、そんなひどい目に遭うような女性ばかり選んじゃうの? もっとやさしくて、尽くしてくれるタイプのほうがきみには向いてるんじゃないの?」と言ってみるのですが、どうも、そういう女性では物足りないらしいのです。
この種の女性に共通しているのは、自己嫌悪が強いということです。
心のどこかで「どうせ、私なんか‥‥」と思っているので、ケンカになったりすると、
「ほら、やっぱり私のことなんか愛してないんだ。信じて、期待して、ソンをした」
「ほら、やっぱり、どうせまた私は捨てられるんだ。このクソ男どもが‥‥!」
となることが多いようなのです。
その後、それが誤解だと気づいたとしても、「こんなに愛してくれたあなたを私は誤解し、そして、信頼しなかった。やっぱり私は最低最悪なんだ」と自己嫌悪を強化してしまいます。
で、いい意味でも、悪い意味でも、それはそれは情熱的なおつきあいとなるわけです。
このタイプの女性はがまんが苦手で、怒りを表現することが多いのですが、じつは子ども時代に理不尽な思いやがまんをたくさんしてきたという場合が多いようです。
で、「もう、これ以上、がまんしたくない」とか「人はいつも私にがまんを強いてくる」という思いから、自分のまわりの人にがまんを押しつけてしまうという結果になることが少なくないのです。
すると、どうしても敵が多く、味方が少ないという状況になりがちです。そして、そんな女性の彼氏ともなると、半端なく疑われるわけですが、しかしながら、一度信頼されると、それはもう、唯一の味方として、ものすごく大事にされたりするわけです。
そういうところが、「もう、たまらなくかわいいんだ」と彼は言うわけです。
しかしながら、彼女にとってはせっかくできた唯一の味方ですから、「失いたくない!」、「万が一、失ってしまったら、私はやっていけない」という思いも強く、それゆえ、彼のことを管理したがりますし、監視もします。
人によっては、「奴隷のようになんでもするから、離れないでほしい」というケースもあります。
つまり、このタイプの女性は、“女王様”になるか“奴隷”になるかのどちらかしかないということが多いのです。
そして、奴隷になりたくないので女王様になると、心にはいつも怒りとの戦いがあり、その怒りの炎が人に向かったり、自分に向かったりします。
それによって、人を丸コゲにしたり、自分が丸コゲになったりということを繰り返したりしますが、ほんとうは心の奥では安らぎを求めているわけです。
ですから、このタイプの女性のパートナーになる人の多くは、だれからも平和主義者と呼ばれるような気のいい人か、この女王様をさえ足もとにひれ伏させるぐらいの王様であるかのどちらかです。
しかしながら、王様タイプはモテすぎというぐらいモテますので、ほとんどの場合は、気のいいタイプの男性がこのような女性のしもべとなり、関係性が続いていくことが多いようです。
表面的には強そうな彼女たちですが、じつは“淋しさ”や“孤独感”が人一倍強いという共通点もあります。「だれもほんとうの私をわかってくれない」と思い、その淋しさと孤独を“強さ”というヨロイで覆い隠しているのです。
もしも、その孤独感をわかってあげられる男性が現れたなら、彼女の凶暴性は鎮まり、そして、彼女はプリンセスのようになることができるでしょう。『美女と野獣』で、野獣の孤独のために泣いてあげた女性が、その野獣を王子様に変えたように‥‥。
男性読者のみなさん、もしも、彼女の孤独をわかってあげられたら、どんな女性も素晴らしいレディへと変身させる“プリンセス・メーカー”にあなたもなれるかもしれませんよ。
では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!