「成功」に隠れたワナ

もし今あなたが、ビジネスを通して幸せな人生を手に入れようと考えているとしたら。仕事のことだけ考えていても、思うような人生を手に入れることはできないかもしれません。かつて私もそうでした。

人よりたくさん稼ぎたい、同世代の同僚より早く出世したい。大きな権限を持ち、責任あるプロジェクトを任されたい。

会社から認められ、経済的にも豊かになること。それが成功するということだ考え、そのためなら残業や休日出勤も当たり前。家族や友人達と良好な関係を育むよりも客先や上司と仲良くなることの方が大切だと疑いもしませんでした。

けれど、想い描いた評価やポジション、収入を手に入れてみて気がついたこと。それは、「ちっとも幸せではない」という現実。

ビジネスでの成功が必ずしも幸せな人生と一致しないなら、「成功」と「幸せ」その両方を手に入れるにはどうすれば良いのでしょう?

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幸せとは「欲求」が満たされることで感じられる感情です。「○○が欲しい」「○○したい」何かを求める気持ちがなければ幸福感も感じられません。

幸せであるためには、自分自身がどんな欲求を持っているかを知りそれを満たしていく努力が必要といえます。健康でありたいという欲求、成功し尊敬されたいという欲求、愛され受け容れられたいという欲求、楽しみたいという欲求、自己成長の欲求。私たちの欲求は大きく分けてこの5つに分類されますが、目標意識の高い人というのはとりわけ、成功や自己成長に強い欲求を示す方が多いようです。

ところが幸せな人生を手に入れるためには、成功や自己成長の欲求だけを満たしても不十分。

幸福感としいうのは、5つの欲求それぞれがバランスよく満たされたときにもっとも大きくかんじられるもの。どれかひとつが満たされても他の分野に不満があると幸福感は半減してしまいます。

この記事を読んでいる方の多くは、ビジネスでの成功と幸せな人生の両立に関心をお持ちのことと思いますが、これまでの働き方を振り返ってみて「なぜか幸せを実感できない」、「満たされない」という事はないでしょうか?

目標意識の高い人というのは成功の欲求にフォーカスする力の強い人と言えます。それはビジネスでの成功に欠かせない要素であり強みなのですが、過ぎた成功欲は時として大きなワナに姿を変えることもあります。

◎コントロールのワナ
目標意識の高い人は成功のためには自らにタスクを課し、日々努力を重ねる事が何よりも大切であることを理解しています。ところが、自分自身への厳しさが他者にも向かい始めたら注意が必要。善かれと思って与えるアドバイスが時に部下や同僚のモチベーションを下げてしまっているかもしれません。人は誰しも自分の意志を尊重して欲しいものです。コントロールのワナにハマると、職場の連携や一体感は損なわれてしまいます。

◎無関心のワナ
ビジネスでの成功というのはとても強い「達成感」と「興奮」を私たちにもたらしてくれるものです。そしてそれは時に、他のあらゆる欲求をも無関心にしてしまう程の威力を持っています。寝食を忘れて仕事に没頭することも時には必要かもしれませんが、それが何年も続いて当たり前になってしまっていたら注意が必要。無関心のワナは、私たちの根底にある健康や家族との間に深刻な問題を引き起こす火種になるかもしれません。

◎無感情のワナ
目標達成や成功への過度な傾倒から、愛や健康への関心が著しく低下すると感情そのものへの関心が薄くなっていく場合があります。同じ結果を残しても以前のように「喜べない」「満足できない」。無感情のワナにハマると、どんなに努力をしても報われない底なし沼の様な絶望感に見舞われる事もありますが、それは「満足感を感じる」感情が麻痺してしまっているからかもしれません。

仕事はうまくいっているはずなのに何故だか達成感や満足感が無い。会社や上司からは評価されても同僚とはうまくいかない。必死に頑張っているのにパートナーや家族には理解してもらえない。

高い理想と目標を掲げ、一生懸命仕事に取り組んでいるからこそ陥ってしまいやすいワナ。心当たりがある方は、自身の行動をチェックしてみましょう。

同僚や後輩に高圧的な態度が多くなってはいないでしょうか?
家族との約束より仕事の付き合いを優先してはいないでしょうか?
残業や休日出勤が当たり前になってはいないでしょうか?

もし今あなたが、仕事とその成果に注力するあまり、同僚や部下、何より家族との関係を育むための時間を充分に取っていないと感じたなら要注意。

問題が深刻になる前に、休暇を取り、家族や友人と過ごす時間をつくることをお勧めします。大切なのは意識的に時間の配分をコントロールすること。まじめなあなたは、放っておくとほとんどの時間を仕事に割り当ててしまうのですから。

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