全くミスをしない人間はいないですから、指導したりアドバイスをする場面は、部下や後輩を育てようとすればするほど、よりチームとして上を目指そうとすればするほど出てくることかと思います。前回は叱る技術を高める為に「怒る」と「叱る」の違いについて考えました。
そして、効果的に叱るポイントとして
1)すぐ叱る
2)短く叱る
3)みんなの前で叱らない
というお話でした。今回は、実際に「叱る」場面が訪れたときに備えて、叱る側はどんな心構えや考え方でいればよいのか?
そんな、「効果的に部下を叱る為の心得」について考えたいと思います。
◆心得その1:相手を非難しない
<悪い例>
上司「○○さん、この間作成を頼んでいた資料のデータの数字が間違っていたよ、ダメじゃないか。」
部下「すみません!」
上司「この間も君に頼んだ仕事で同じミスがあったばかりじゃないか!
ちゃんとやってくれないと困る」
部下「本当にすみません」
上司「だいたい君はやる気があるのかね?
何度も同じミスで全く成長できていないじゃないか・・・」
部下「申し訳ありませんでした。。。
心の声:
(そんなこと言ったって自分だってミスしてたくせに!)」
私達は部下や後輩がミスをしたり、仕事の段取りや計画の詰めが甘かったりする時には、どうしても相手を非難したり、責めてしまいがちです。
もちろん、「なぜこれがいけないことなのか?」「どこがうまくいっていないのか?」と言うことを、指摘したり、わかっていない相手に理解させる事は大切なのですが、非難しても相手の行動や現状の改善にはなかなか繋がりません。
また、責められていると感じた時に、私たちは傷つくことから自分を守る為に、本能的に心が閉じてしまったり、反発心を芽生えさせてしまうことがあります。
そのため、こちらは部下や後輩の為を思って叱っているのに、相手の心が閉じてしまっている分、何度も指導やアドバイスをしてもなかなか相手に響かないことが起きたり、反抗的な態度を示されることが起きやすくなります。
同じミスが何度も起こる原因は
「何が問題点だったのか?」
「どう改善していけばいいのか?」
というのを部下や後輩が理解できていない、ということなのです。
なので叱る側は。ミスが起きた現状を責めたり、「あの時なんでこうしなかった」と過去を非難するのではなく、次に同じようなミスを引き起こさない為に、どうすればいいのか?をミスをした本人が理解できるサポートする姿勢でいることが問題解決への近道となります
◆心得その2:相手の人格を否定しない
<悪い例>
上司「おまえはホントダメだな。
今月の売り上げ目標を達成できていないのはおまえだけなんだぞ。 わかってるのか!?」
部下「すみません。
でもいま見込み客がある程度あるので、来月分では取り返せると思うんです。」
上司「何を言ってるんだ!
今月には今月の目標があるんだから、それをクリアできないと意味がないんだよ。」
部下「はい、、、すいません」
上司「だいたいおまえは仕事に対する考え方が甘いんだよ。
おまえは仕事して何年目だ!?今まで何をしてきた!
おまえみたいな奴がいるから、全体の志気や勢いまで下がるんだ。」
指導したりアドバイスをする中で特に気をつけなくてはならないのが
「相手を全否定してしまうこと」
です。
相手のミスや、技量などが足りない部分を指摘しているうちに、ついエスカレートして怒りのエネルギーを使って現状を打破しようとしてしまい、つい言葉が攻撃的になってしまったり、叱責してしまったりすることがあります。
また相手の成長を願うほどに「こうしておけばいいんだから!」と”
自分の成功の秘訣”という1つの枠組みの中に相手を当てはめてコントロールしてしまうこともあります。
感情的に相手を怒ることは、雷が落ちたみたいに、その瞬間は「すいませんでした!」と相手も萎縮し、一時的には効果があるように感じれますが、怒られる側は「次はいつ雷が落ちるんだろう。。。」とびくびくしてしまい、自信をなくしやすくなってしまいます。
部下や後輩に「自主的に考え、工夫し、行動できる」デキる部下に成長してもらう為にも自信を持たせてあげることが必要です。
そのためには、まずは上司や先輩側のあなたが部下や後輩に対して敬意をもって接してみてください。
すると、部下や後輩もあなたに対して敬意を持ち始めます。
そんな風に、お互いが相手に敬意を払うことでより信頼関係で結ばれ、チームとして機能しやすくなります。
まだまだあります、「効果的に部下を叱る為の心得」。
次回は、より相手の心に指導やアドバイスを届ける為の心得についてお話します。
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