デキる大人のリレーションシップを育む技術

ビジネスマンにとって、良好な対人関係を構築できる能力はもっとも重要なビジネススキルのひとつといえます。どんなにIT化が進んでも、意思決定を人間が行う以上、誰から買うか、誰からサービスを受けるのかというのは欠くことのできない判断基準。

いかに商品知識の豊富な営業マンであっても、クライエントと良好な人間関係を築くことができなければ思うような成績を収めることはできないでしょうし、h不十分なリレーションシップは時としてクレームの原因になってしまうことも。

ところが私たちは、良好なリレーションシップの作り方について専門的に学ぶということをほとんど経験していません。

「飲みニケーション」なんてベタな造語はもはや死語、バブル全盛期の派手な接待も影を潜める中、どのように顧客との良好な関係を作っていけばよいのでしょう?

●笑顔の理由
営業スマイルなんて言うように、笑顔というのは良好なリレーションを築く上で重要な役割を担っています。

無邪気な赤ちゃんの微笑みが実のところ大人から可愛がられ、保護されるための本能的な現象であると言われるように、笑顔には人を惹きつけるチカラがあるのです。対人関係を良好なものにしたいなら、まずは笑顔のチカラを味方につけることが大切です。

このように、笑顔が人を惹きつけるのには理由があります。誰かと対面するとき私たちは、まずその人が安心できる相手かどうかを観察します。それは動物的な防衛本能でもあり、無意識の判断でもあります。

笑顔はノーリスクのシンボル、私はあなたに危害を加える意思はありませんよ、というサインであり、微笑みには、リレーションシップの初期に求められる安心感を満たすという役割があるのです。

良好なリレーションシップを築くためにはいくつか満たしておくべきポイントというのがありますが、「安心感」はその中でも最も重要で欠くことのできない要素。脅威を感じる相手とは、誰だって良い関係を築くことなんてできませんから。「安心・安全である」ということはあらゆる対人関係の土台となる要素であることは疑う余地はないですよね。

では、そんな「安心感」の他に満たしておくべき対人関係の要件は何でしょう?

●御用聞きの満たすもの
用事がなくても客先へ顔を出す、フォローアップコールという営業活動があります。「御用聞きセールス」と呼ばれ、かつては消極的なセールスマンを揶揄するために使われたりもしましたが、今、この「御用聞き」が見直されているといいます。

何より効率が重視され、メールでのコミュニケーションが主流となる昨今。用事がなくても顔を出し、特に売り込むこともしない御用聞きというのはやや時代錯誤な感じもします。けれど、そんな地道な活動から顧客は、心の中で満たされる何かを感じとっているのかもしれません。

私たちはどこかで、誰かにとっての重要な存在でありたいと感じています。大切に扱われ、気に掛けてもらえることを望んでいるのです。それは人と人の?がりが希薄になりつつある現代においてより強い願望として潜在意識の下に隠れているのかもしれません。

サザエさんに登場するミカワヤさんは、毎日欠かさずいつもと変わらない笑顔で「ちわーす」と磯野家の勝手口を訪ね、「いつものお願い」のひと言で必要なものを理解して帰ります。そんな「御用聞き」活動が満たしているのは、私たちが心の片隅で求めている「受容されたいという欲求」、そして「気に掛けられたい」という重要感なのではないでしょうか。

●デキる大人のリレーションシップを育む技術
良好なリレーションシップを構築しようとするなら、まずは相手に脅威を与えない態度と振る舞いが大切。「安心感」のない間柄からは良い関係を築くことはできません。そして続いて必要になるのが、気持ちを受け止める「受容」、そして重要感を満たす「心遣い」ということになるでしょう。

けれどこれだけでは、継続的に良好な関係を構築するには不充分。なぜなら私たち人間は慣れる動物であり、「いつもの」という安心感はやがてマンネリに、気に掛けられているという重要感もやがてあたり前になっていくものだからです。

そこで求められてくるのが、マンネリとあたり前を越えていくための、「somothing new(何か新しいもの)」好奇心をくすぐるスパイスです。

それは一定の関係性が構築されてからが効果的。いつもの挨拶、いつもの応対、いつものやり方に少しだけ「new」を織り交ぜてみましょう。

ミカワヤさんなら、「ちわーす」のあとに、「これいつものビールと一緒につまんでみてください」と新商品のおつまみをサービスしてみたり、という具合。

セールスマンなら打合せで使う喫茶店をいつもと違うお店にしてみる、そんな程度のnewでいいし、ヘアースタイルや服装に新しいニュアンスを加味してもいい。もちろん、そんな小さな変化をビジネスパートナーの中にみつける(あなたが好奇心をくすぐられる!)ことも、リレーションシップをより深いものにします。

ちょっと乱暴な言い方ではありますが、世のビジネスのほとんどすべては、顧客のニーズを大切に受け取り、そこに「somothing new(何か新しいもの)」を加味することで成長してきました。
私たちのリレーションシップもまた「受容」と「肯定」、そしてほんの少しの「somothing new(何か新しいもの)」を加えることで、今よりいっそう良好かつ継続的なものへと育んでいけるのでないでしょうか。

—–

この記事を書いたカウンセラー

About Author

退会しました。