もちろん仕事に限らず、人生でもあらゆるところで、トラブルにみまわれることもあります。トラブルは、避けたいものではありますが、避けきれないというのもまた事実です。
だとすれば、そのトラブルにどう対処するかは、とても大切なビジネススキルということになります。
到着する予定の商品が、悪天候による交通機関の乱れによって到着しない。
大切なプレゼンの当日に、担当者が怪我をしてしまい、プレゼンできなくなってしまう。
納期が迫っているのに、病気になってしまい、納期に間に合わない。
どんなに綿密に計画を立てても、何が起こるかわからないのが、私達が生きている世界なのです。
昔私が、初心者向けパソコン講座の講師をしていたとき、トラブルが発生したことがあります。
インターネット講座をしていたのですが、回線トラブルが起こり、まったくもってインターネットに接続できなくなってしまったのです。
インターネット講座なのに、インターネットに接続できない・・・
講座時間は2時間、開始10分で繋がらない状態になってしまいました。
もちろん、この講座の後には、別の会場での同じ講座があります。
そこにも、たくさんの生徒さんが来てくれるわけですから、今やっている講座の時間を、回線が回復するまで延長する訳にもいきません。
こんなトラブルに見舞われたときは、「出来ることしか出来ない」ということを、潔く受け入れることなのです。
もちろん、やれることはやる必要はあります。
「出来ることしか出来ない」これを潔く受け入れ、出来ることに全力を傾ける。
それが大切であることは、頭ではわかるのです。
ですが、次の瞬間に怖れがやってきます。
「怒られたらどうしよう」
「自分への評価が下がったらどうしよう」
そうすると、その怖れを防衛したくなってしまいます。
怖れを防衛するということは、心の向きが、お客様や、生徒さんなどの、自分が対処すべき人達ではなく、自分へ向いていることになります。
心を差し出すのではなく、心を囲い込んで、守ろうとしてしまうのです。
それは、お客様や生徒さんを大切にするよりも、自分を大切にしているということでもあるのです。
もちろん、自分を大切にすることは、大切なのですが、こういった緊急事態では、やはり自分のメンツよりも、怒られて傷ついてしまう自分の心よりも、相手を大切にすることが必要です。
起こったトラブルに対して、言い訳をするのは、自分の身を守ろうとしていることです。
言い訳するのではなく、トラブルを受け入れ、「出来ることしか出来ない」ことを、潔く受け入れ、そのことに全力を尽くすことは、相手に自分を差し出すことです。
自分を差し出した人に対して、罵声を投げつける人は、そう多くはいません。
何とかトラブルを挽回しようと、出来ること以上のことをしようとすると、出来るはずのことも出来なくなってしまいます。
潔く、「今はこれしか出来ない」そのことを、受け入れる勇気が必要ですね。
お客様に起こられようが、出来ること以上のことは出来ないのです。
怒られたっていいじゃないですか。
出来ることに全力を尽くす。
そうすることが出来た時、トラブルに見舞われて、計画通り仕事が進まなくても、そこでの経験が次にいかせます。
ところが、全力を出さなかったら、「あんなこともできたのに・・・」と、自分を責めるモードになってしまいますから、トラブルから学ぶ余裕すら無くしてしまいます。
トラブルが起こらないように準備することは、もちろん大切です。
一たびトラブルが発生すれば、お客様にご迷惑をおかけしてしまうわけですからね。
でも、どうしようもないトラブルに見舞われることだってあります。
トラブルに見舞われたら、腹をくくりましょう。
そして、トラブルが発生している「今」に意識を集中し、「今出来ること」に全力を傾けましょう。
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