トップセールスマンに学ぶ、人を動かす『好意の原理』

●「何を言うか?」ではなく「誰が言うか?」

突然ですが、もし私が「富士山が大噴火するらしいですよ!」と言ったらあなたは信じてくれるでしょうか?
「ふ~ん。そりゃ大変だ」と気を使って話を合わせてくれる人が若干名いるかも知れませんが、きっと誰も本気にしないと思います。

しかし、もし総理大臣が表明を出して「3日以内に富士山が噴火する危険性がある!」と緊急非難勧告を出したとしたらどうでしょう?
きっとすぐに避難準備を始める事でしょう。

私も総理大臣も「富士山が噴火かするかも!?」と言っている内容は同じ。
しかし私では人は動かず、総理大臣だと人は動く。

それはそうですよね。
だって総理大臣の方が、一個人の私が言うよりも信憑性も影響力もありますから。

では、もし私が富士山の噴火をずっと調査している研究者だったとしたらどうでしょう?
もしかするとそこでは、「成井が言うなら、逃げよう」と動く人も増えるかも知れません。
・・・しかし、私がそんな研究をしているということを知らない人からすれば、やっぱり「ふーん」で終わる話かも知れません。

何が言いたいかというと、

【私達の対人関係の中で
「何を言うか?」ではなくて、
「誰が言うか?」の方が重要視されている】

という事です。
私達は、相手をより知っていたりして信頼出来る人や、自分が好意を持っている人の言う事に、心が動かされるのです。

●商品を売る前に自分自身を売る!

それはセールスでも同じ。
【「何を売るか?」ではなく、「誰が売るか?」】
が重要視されます。

同じ商品で、同じ内容の説明を受けたとしたら、私達は知らない人や信用出来ない人からよりも、自分が好意を持つ人、信頼出来る人から購入したいと思うものです。

大型の家電量販店が増え価格競争をしている中で、街の1つのメーカーしか扱っていない電気屋さんは苦境を強いられているそうです。
しかし、それでも不況関係なく、確実に業績を右肩上がりで上げている電気屋さんがTVに取り上げられていました。

彼らが一体どんなセールスをしているのかというと、実は何も売らないのです。
しかし彼らの予定は、朝からお客様のアポで埋まっています。
お客様の家について彼らがすることは、エアコンの掃除だったり、簡単な日曜大工仕事だったり、電球の取り替えだったり、TVの操作説明だったり。
彼らはそれらの仕事でメンテナンス料や出張料を請求することもありません。
また彼らは無理に新商品をセールスしたりもしません。
壊れたら買い換えて貰う程度のペースです。

そんな無償奉仕ばかりで儲かるのか?と思いきや、お客様の家の電化製品は全て、彼らが扱うメーカーで揃っています。
全て、その街の電気屋さんで購入した物なのです。
量販店よりも価格が高かろうが、量販店と違い在庫を抱えている店舗も少ないですから、注文して即日届くといったスピードが無かろうが、彼らのお客様は、彼らのお店で買い続けるのです。
そして、その街の電気屋さんには、そんなお得意様ばかりなのです。

「遠くの家族よりも、ずっとずっと頼りになる。」
彼らのお得意様は、みなそう言います。

●チャルディーニとザイアンスの法則

アメリカの社会心理学教授のロバート・チャルディーニは
「人は、好意をもっている人からの要請を受けると、
それに積極的に応えようとする」
と『好意の原理』を唱えています。

また同じくアメリカの心理学者のロバート・ザイアンスは
「人は会えば会うほど相手に好意を持つ
人は相手の人間的側面を知ったとき、好意を持つ」
という『単純接触の効果』を唱えています。

【会う回数を重ねる程、人は相手に好意を持ち
その人の人となりを知れば知るほど、相手に好意を持ち、
そして好意を持っている人からのお願いには、私達は積極的に応えようとする】

お客様がどんな人でもセールスで大切なのは、
『まず相手に好かれること』
売上は、そんなあなたの人間としての魅力に比例すると言えるかもしれません。

不況だからこそ、そういったプラスアルファな要素が、より効果を発揮してくる時代と言えるでしょう。
一見効率的ではないように思えるかも知れませんが、お客様に好意的をもたれる人になれるよう、チャレンジしてみてくださいね。

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この記事を書いたカウンセラー

About Author

恋愛、対人関係、自己啓発、ヴィジョン、ビジネス心理を得意とし、”少しでも楽に・簡単に・シンプルに”をモットーに、分かりやすい心理分析と日常的に無理なく取り組める提案を行っている。 その人本来の輝きや、問題の先にあるヴィジョン(幸せな未来や才能)を引き出すカウンセリングが好評である。